感情労働の具体的な事例として挙げられるのが、駅員や客室乗務員のクレーム対応です。
「サービスが気に入らない」など理不尽な要求をされた場合も、駅員や客室乗務員である以上、本来の感情を抑え込み冷静に対応しなければなりません。
理不尽な迷惑行為をするお客さんは、基本的に正当な主張を伝えても聞く耳を持っていません。
結果的に、サービスを提供する側が大人の対応をするしかないのです。
数ある職種の中でも、駅員や客室乗務員は攻撃的な態度を取られることが多い傾向にあります。
発着時間のルールが厳しい中、時に列車の遅延が発生するような仕事上、それは避けようがないことです。
そんな背景もあり、駅員や客室乗務員には、各種対応マニュアルが確立している傾向にあります。
マニュアルは、従業員一人ひとりがお客さま対応で頭を悩ませることがないよう、細かくルール化されています。
また、看護師や介護士も感情労働が生じる代表的な仕事といえます。
患者さんや利用者さんの理不尽な要求や横暴な態度に振り回されるだけでなく、これらの職業では悲しみやつらい状況もつきものです。
実際、重度の病に侵された患者さん、先が長くないと宣告された利用者さんなどと遭遇し、涙を堪えなければならないシーンも少なくありません。
このように、医療や介護の現場では、喜怒哀楽の感情が波のように押し寄せてくるため、心の強さや切り替えの早さが求められます。
医療・介護の世界に踏み入れたいと感じているのなら、自身に耐えられるだけのタフな心があるかどうかを確かめておくことが大事です。